起業と印鑑

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ここのところしばら、く起業や起業家やがもてはやされて久しい。特に若手起業家やその起業の、ノウハウなどをテーマにしたワイドショーなどをよく目にすることが多い。アフィリエイトビジネスなどその最たるものであろう。完璧にIT時代の先頭を行ってるし、人々の欲求や欲望を満たしてあげつつそれによって自らも収入を得る。資本投下も少なくて済み、こんないい商売はない…とアフィリエイターたちは思っていることだろう。事実高収入を得て、夢のようなリッチな暮らしをしている方々もいるという。しかし本当にそうなのだろうか? 私は若干疑問に思っているのだが…。

どんなものでもビジネスに結びつけて考える…というのは、若いうちからよっぽど意識付けしておかなければ、そう簡単に実行できるものではないだろう。ビジネスチャンスを掴めるやつは、その素地を幼いうちから知らず知らずに鍛えられる環境に育たなければ、そうはならない(なれない)のだと私は思う。

公務員の家に生まれたもの(私がそうなのだが)など、毎月毎月きちっと家にお金は入ってくるものの、突如ドッカ~ンとくるものではないと幼い頃から身にしみてわからせられたものだった。悲しいくらいそれが身に染み付いていて、だから子どもであっても無い物ねだりはしないようになったのだ。
他人様から見れば、わがままを言わない、分別のある、いい子に見えるだろうが、その内実はキビシいもので、簡単に言えば「無いものはない」、「無い袖は振れぬ」という環境なのだ。毎月決まって入ってくる、多額とはとても言えない給料を案分して、決められたものをその予定通りに買う。それがしがないサラリーマン家庭のオキテで、投機的なものに触れるのは厳禁、御法度なのだ。

私も親のようなしがないサラリーマン生活を脱却して、そこそこリッチな生活を目指してもバチは当たらないだろうと(こんなことでバチのことまで考える、その志の低さが悲しい)思い、15年間勤めた会社を退職し、友達5人と会社設立をしようじゃないかと図ったのは決して偶然ではなかった。販売関係に携わったことは無く、営業経験もごくわずか、経理業務にまるで無知な私は、「何とかなるさ!」というテキトーな考えで独立計画をスタートさせたのだった。

しかしそこで直面したのが、まず自分の無知さというか、社会経験の浅さというか、ビジネスの基本、ビジネスの何たるかを知ら無いことをはっきりと認識した、それは会社設立のまだ準備段階であった。知ってなければならないことは山ほどあった。まず会社登記なるものをしなければならない、ということを知らなかった。会社の定款というものを定める、ということも知らなかった。就業規則などというものもほとんど考えてなかった。

なにせ知っていたのは社名を考えて付けて、事務所を借りなければならない。ということと、取引先への挨拶回りと新規取引先の開拓を急がなければならない、というくらいだったのだから、まったく飽きれてしまう。これを無謀と言っても、誰もそれに意義は唱えないだろう。悲しいことだが、私の起業意識・知識のレベルはその程度のものだったのだ。

でこんなレベルであるからして、当然と言えば当然のごとく、契約や納品・請求・領収などビジネスで使う会社のハンコ(印鑑)にもまったく意識が及ばなかった。迂闊といえば、まったくこれほどの迂闊もないものである。会社を起こし、その代表者になろうとしているものが、そんな基本中の基本を知らないなんて…。愕然としたわたしがさっそく名の知られている印舗に出かけて、相談にのってもらい、4種のハンコ(印鑑)を作ったことは言うまでもない。

会社設立に最低限必要になる印鑑は「代表者印」、「銀行印」、「角印」、「社判」の4種。そのいずれも個人印よりもはるかに頻繁にしかも永く、長期に渡って使うものなので、欠けたりすると面倒なことになるので、丈夫な素材でしっかり作ることが大事なことは言うまでもない。

誇りと自信、そして愛着をもって押せるような素敵なハンコ(印鑑)を 作り持つことが、起業家としてまず第一に成さねばならない仕事なのだ。そして良い印鑑を持つ会社ほど、社業はかならず発展するものなのだなぁと私は今に至って確信している。その理由は、苦い苦~い思い出とともに語らねばならないのでまたの機会にしよう。



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